特定のソースカラーやスポットカラーを印刷している場合、ソースカラーと十分に近いカラーが再現されているかどうかの確認が求められることがあります。また、指定の用紙でプリンタがどの程度正確にカラーを再現できるかの確認が必要になることも一般的です。そのため、ユーザーはカラーの違いを表現および計算する方法を知っておく必要があります。
このトピックでは、複数の計算方法を示し、これらをカラーの評価に応用する方法について説明します。
カラーの比較は、CIELAB カラースペースなど、デバイスに依存しない同一のカラースペースで行うのが常です。CIELAB カラースペースでは、2 つのカラーの間に実際に線を引いて、どの程度近いカラーであるか、またはどの程度違うカラーであるかを示すことができます。そのため、カラーの違いはカラー間の距離とも言います。CIELAB カラースペースは、目に見えるとおりにカラーを表します。カラーの違いを自動的に説明する値により、カラーの違いが目に見えるかどうかが示されます。
2 つのカラーまたはカラーグループの違いは、カラー測定基準で表すことができます。このトピックでは、最初に CIELAB カラースペースを説明した後、このカラースペースから得られるカラー測定基準を説明します。
Commission Internationale d'Eclairage (CIE) によって開発された CIELAB カラースペースは、三次元球上の位置ですべてのカラーを一意に表します。Lab カラー値は、CIELAB カラースペースでのカラーの位置を表します。
varioPRINT iX-series プロファイル、カラー検証テスト、スポットカラーライブラリ、用紙ファミリーのキャリブレーションは、CIELAB カラースペースを使用し、デバイスに依存しない方法でカラー値やカラーの違いを定義します。
印刷されたカラーの CIELAB カラー値を読み取るには、分光光度計を使用します。PRISMAsync Print Server ソフトウェアは、測定された Lab 値を計算用に処理できます。
CIELAB カラースペースには、CIE L*a*b* および CIE L*C*h* の 2 つのモデルがあります。
CIE L*a*b* カラースペースは、カラーを説明してカラーの違いが見えるようにするために使用されます。CIE L*a*b* カラースペースは、人間の目が視覚情報を 3 つの信号 (明 - 暗、赤 - 緑、黄 - 青) に変換するという事実に基づいています。
CIE L*a*b*CIE L*a*b* カラースペースのコンポーネントは次のとおりです。
L* - 明暗 (0 ～ 100)。
a* - 緑 ～ 赤 (-128 ～ +127): -a* が緑を、+a* が赤を表します。
b* - 黄 ～ 青 (-128 ～ +127): -b* が黄を、+b* が青を表します。
CIE L*C*h* は L*、C*、および h* を使用し、C* および h* は CIE L*a*b* モデルの a* および b* の座標から計算されます。
CIE L*C*h* と CIE L*a*b* でカラーの位置は同じですが、表記が異なります。
CIE L*C*h*L*C*h* カラースペースのコンポーネントは次のとおりです。
L* - 明暗 (0 ～ 100): L* は L*a*b* と同等です。
C* - 彩度: 明度軸からの距離です。軸上が 0 で、端になると 100 を超えます。
h* - 色相角: 度で表されます。0° は +a* 軸上の位置、180° は +a* 軸上の位置を意味します。
CIELAB で 2 つのカラーの違いを表す最も一般的な測定基準は、Delta E です。Delta E 値は、人間の目で知覚されるカラーの違いを予測します。
Delta E でカラーの違いに関する十分な情報が得られるとは限りません。そのため、ほとんどのカラー評価が別の測定基準も使用しています。Delta E 値の解釈は主観の域を出ません。特定の Delta E 値の影響は、アプリケーションやさらにはカラーによって異なります。たとえば、人間の目は鮮やかな色よりも灰色がかった色のほうがより適切に違いを認識できます。
CIELAB での 2 つのカラーの違いDelta E 範囲は、特定のカラー評価で Delta E の値がどのように解釈されるかを示しています。
1 よりも小さい Delta E は、人間の目に見えません。
1 ～ 2 の Delta E は、注意深く見るとわかります。
2 ～ 10 の Delta E は、一目でわかります。
プリンターでは、以下に示す 2 種類の Delta E が使用されます。
Delta E 2000, △E00,業界標準です。
Delta E 1976, △E76 あまり複雑でない正確な距離計算に基づいています。
カラーの違いについて、カラーの違いの Delta E, 合計よりも多くの情報を示すため、色相エラー △H (Delta H)が使用されます。
Delta H は、明暗と彩度の違いが無視されると残るカラーの違いであると考えることができます。
△L (Delta L) 2 つのカラーの明度の差です。XX |ΔL|の絶対値です。△L (Delta L).
加重 |ΔL| は、K 値が 50％ を下回る明るいグレーについてカラーの違いをより重視します。荷重の目的は、非常に暗い灰色の明度要因の重要性を低減することです。人間の目は通常、非常に暗いグレーの領域のエラーを識別できません。この加重の定義は、IDEAlliance G7 の仕様に従っています。
グレー軸の近く、つまり近くの中間色の場合は、Delta Hの使用は充分に適切ではありません。代わりに △Ch (Delta Ch) を測定基準に使用するのも有効です。
測定基準の彩度により、グレーバランスのエラーが明らかになることがあります。
加重 ΔCh は、C が 50％ を下回るコンポジットグレーについてカラーの違いをより重視します。荷重の目的は、非常に暗い灰色のグレーバランスの重要性を低減することです。これらの暗いグレーのエラーは処理が難しく、通常はブラックインクで印刷されます。この加重の定義は、IDEAlliance G7 の仕様に従っています。